２０２５年９月－１２月のCD

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「ジャズCDの個人ページ」by K. Kudo

最終更新日：　2025/12/19

 

１２月

Off Stillnes/Time Is A Blind Guide/Thomas Stronen(Ds)(ECM 2842)（輸入盤） - Recorded December 2021. Ayumi Tanaka(P), Hakon Aase(Vln), Leo Svensson Sander(Cello), Ole Morten Vagan(B) - 1. Memories Of Paul 2. Season 3. Fall 4. Tuesday 5. Cubism 6. Dismissed 7. In Awe Of Stillness

(25/12/19)全曲Thomas Stronen作曲。Time Is A Blind Guideの３作目。収録時間は４１分。持ち込み音源を’２４年に彼とマンフレート・アイヒャーでミックス。いかにも北欧ジャズという感じですけど、１曲目など田中鮎美のミステリアスなピアノと他の楽器が絡み合い、独特なサウンドを形成しています。２曲目はヴァイオリン、チェロ、ベースが全体の中で浮いて見える仕組み。そんなに静かでもないんだけど、北欧でなければ出ないようなサウンドは、ここでもなかなかいい感じ。メロディアスな曲、自由に飛翔するような雰囲気の曲など、幅も広く、フリーになりそうでならない絶妙なバランスもいい。少しヒンヤリとした情景描写が見える感覚。ドラマーの作曲だとモチーフを示しているのだろうけれども、うまくまとまっています。
Memories Of Home/John Scofield(G), Dave Holland(B)(ECM 2860)（輸入盤） - Recorded August 2024. - 1. Icons At The Fair 2. Meant To Be 3. Mine Are Blues 4. Memorette 5. Mr. B(Dedicated To Ray Brown) 6. Not For Nothin' 7. Easy For You 8. You I Love 9. Memories Of Home

(25/12/12)ジョン・スコフィールド作が１－４、７曲目、デイヴ・ホランド作が５－６、８－９曲目。プロデュースはこの２人。収録時間は５５分。再演曲もあって、当時の演奏と比較するのも興味深い。ドラムスがなくても、ベテラン２人のやり取りは十分意思疎通ができていて、不安がないどころか、むしろ安定感をもたらしています。ギターは相変わらず自由に弾いていて、これこそジョン・スコというようなフレーズを繰り出してます。ホランドのベースも、これまたフレーズを自由に弾いているように見えて、基本的な軸を持っているという、素晴らしい演奏。オーソドックスなジャズではないですが２人の個性を聴くには十分な内容です。２、６曲目のような再演曲は、やはりアレンジが異なっていても懐かしい。地味だけど名盤かも。
The Koln Concert/山口ちなみ（P)（寺島レコード） - Recorded September 2025. - 1. Koln, January 24, 1975 Part I 2. Koln, January 24, 1975 Part IIa 3. Koln, January 24, 1975 Part IIb 4. Koln, January 24, 1975 Part IIc

キース・ジャレットの名演奏の再現。収録時間は６１分。ひと通り聴いてみたけど、これはこれでアリかな、と思います。元の楽譜と、元の録音を頼りに、ここまでやったのはすごいこと。山口ちなみはクラシック畑出身で、もちろんミキシングその他も（録音がキングの関口台スタジオ）、出てくる音やサウンドの雰囲気が違うけど、しっかりと鑑賞できると思いました。それでもECMを意識したような音ではピアノは鳴っていると思います。最初は元の録音を何度も聴き直したそうですが、今回の録音の前にはなるべく聴かないで、練習をしていたようです。結果、気が付かないところで再構築されているのかもしれないです。ジャズの即興演奏を、譜面でクラシックのように弾く、というのは新たな試みで、今後も続く人が出るかも。（２５年１２月３日発売）

１１月

Topos/Sokratis Sinopoulos(Lyra)/Yann Keerim(P)(ECM 2847)（輸入盤） - Recorded February 2024. - 1. Vlachia 2. Valley 3. In The Spot 4. Sash Dance 5. Dance From Bucsum 6. Romanian Polka 7. Fast Dance 8. Mountain Path 9. Forest Glade 10. Stick Dance

(25/11/23)１－２、８－９曲目はベラ・バルトークにインスパイアされ、他の曲はバルトークの「Romanian Folk Dance」に基づくとあります。収録時間は５１分。Sokratis SinopoulosのECMリーダー作は３枚目。Lyraは古代ギリシャでは竪琴を意味するが、ここではそれとヴァイオリンの間のような写真で、情感的な音色。ジャズと言うよりは民族音楽を聴いているような雰囲気もあり、元がバルトークということで、クラシックのような雰囲気もある、ECMならではの不思議な折衷音楽。特にダンスシリーズは、クラシック色が強い感じ。哀愁の漂うサウンドが満ちていて、こういう世界もいいなあ、と思えるサウンドなのですが、少々地味なイメージも。ギリシャ風味の哀愁を付け足しつつ、メロディのはっきりしたサウンドを奏でています。
バーニング・ウィック／藤井郷子（P、Voice）カルテット（Libra Records）
Burning WIck/Satoko Fujii(P, Voice) Quartet(Libra Records) - Recorded September 2, 2025. 田村夏樹（Tp）、早川岳晴（B、Voice）、吉田達也（Ds、Voice） - 1. Solar Orbit 2. Rain In The Wee Small Hours 3. Walking Through The Border Town 4. Neverending Sumer 5. Mountain Gnome 6. Three Days Later 7. Burning Wick

全曲藤井郷子作曲。収録時間は７１分。基本的にエレキ・ベース（６曲目のアコースティック・ベースを除く）。割と静かな場面で自由に与えられているスペースと、記譜されたユニゾンでの演奏や、決まったコード進行のファンク的部分、変拍子とか、爆発しているようなフリー的なソロの演奏もあるけれど、基本的には、割とカチッとまとまっているような（それがフリーの部分であっても）印象のある曲が続きます。ユニゾンの部分もメカニカルな進行で、決して分かりやすくはないのだけど、長い時間をスキッとした感じで聴けているのは、その作曲能力にあるのかもしれません。それでも、ジャンルとしてはフリージャズ、フリーファンクの要素も強いので、聴く人を選ぶかもしれませんが。３曲目など、ヴォイスが何やら不穏な空気。（２５年１１月２１日発売）
Close/Steve Tibbetts(G, Per, P)(ECM 2858)（輸入盤） - Released 2025. Marc Anderson(Per, Gongs, Handpan, Loops), JT Bates(Ds) - 1-3. We Begin 4-6. Away 7-8. Remember 9-11. Somewhere 12. Antwhere 13-17. Everyone 18. Remember And 19. Remember And Wish 20. We End

(25/11/03)全曲Steve Tibbettsの作曲。収録時間は５９分。タイトルが「Close」でラストが「We End」なので、これが最後のアルバムにするつもりかと思ったら、ECMのサイトには何も書いてなかったため、偶然のことだろうと思います。相変わらずアコースティック・ギターを中心に、西洋に東洋風味を混ぜたサウンドになっていて、そこがエキゾチックでいい感じ。今回のアルバムは打楽器が大きめの音でリアルな低音も入っていて、耳にも良い刺激になってます。あとは、曲が細かく２－５つのパートに分かれているものもあって、そこは新機軸かな、と思います。もちろんアルバムを通して聴いて、そのあたりを気にしなくても大丈夫だし。彼はただひたすらにECM初期の頃からアルバムを作ってますが、一貫性があります。
花道～ファイナル・スタジオ・レコーディング Vol.2／菊地雅章(P)（Red Hook Records）
Hanamichi-The Final Studio Recording Vol. II/Masabumi Kikuchi(P)(Red Hook Records) - Recorded December 2013. - 1. Manha De Calnaval 2. Improvisation II 3. Alone Together 4. Improvisation III 5. I Loves You Porgy 6. Improvisation IV 7. My Ship

(25/11/03)１、３、５、７曲目にスタンダード、２、４、６曲目が菊地雅章のインプロヴィゼーション。収録時間は４３分。穏やかな、慈しむような雰囲気でメロディやハーモニーが紡ぎだされていくのは、亡くなる２年前のことでもあって、もう悟りの境地になっているかと思うほど。以前にも「花道」本編がCDで出ているけど、その残りテイクという感じが全然しない素晴らしいものです。内側を向いて、ぎりぎりのところで音を出している、という感じが伝わります。スタンダードは余計な音が出ていなくて、純粋にメロディをたどっているようにも聴こえ、インプロヴィゼーションも、自由なんだけど、余分な音が存在しないようにも感じます。聴く人を選ぶかもしれないけど、それでもこういう世界が好きという方への１枚になるかと思います。

１０月

あこの夢／鈴木勲（Cello）セクステット（Three Blind Mice） - Recorded October 19, 1976. 渡辺香津美（G）、秋山一将（G）、山本剛（P、Key、Synth）、濱瀬元彦（B）、土肥晃（Ds） - 1. Ako's Dream 2. Isao Family 3. Feel Like Makin' Love 4. Seven Come Eleven

１－２曲目が鈴木勲作曲、３－４曲目はスタンダードやジャズメン・オリジナル。収録時間は３５分。鈴木はチェロに専念しています。’７６年の録音らしさが出ていて、ベースもピアノもエレキの時があるし、１曲目では８ビートのちょっとゆったりとしたしたリズムに乗りながら、チェロはじめ、ピアノ、ギターなどがメロディを奏でています。ギターが２人いるところも特色か。ウキウキするようなブルース進行的なテーマで、弦楽器が中心になって演奏される、明るさと心地良さのある２曲目、少し重心が上かな、とも思える、それでも有名なテーマのメロディが出てくるとジャズロック的雰囲気も合って、なかなかいい感じの３曲目、チャーリー・クリスチャンの名曲で、長い出だしのギターとチェロの絡みが雰囲気がよく出ている４曲目。（２５年１０月２２日発売）
セカンド・アルバム／峰厚介（As、Ss）クインテット（Three Blind Mice） - Recorded November 29 and December 2, 1970. 今井尚（Tb）、増尾好秋（G）、鈴木良雄（B）、村上寛（Ds） - １．Y.M.　２．義兄弟　３．ストライプ・スラックス　４．チンさん（テイク・１）　５．チンさん（テイク・２）

１曲目が峰厚介作、２－３曲目が鈴木良雄作、４－５曲目が今井尚作。収録時間は４５分。ピアノレスでギターが入っているのが、なかなか雰囲気に合っていていいと思う。1曲目はソプラノ・サックスを使って、アップテンポの４ビートでモーダルなサウンドがけっこうカッコ良い。増尾のギターも、’７０年でこれだけ弾ききっているのは素晴らしい。８分の６拍子で、これまたモーダルな感じがムンムンする渋い２曲目、アップテンポの４ビートで、まくしたてるように突き進んでいくその疾走感がいい３曲目。４－５曲目はどちらのテイクを入れるか困って、プロデューサーが両方入れよう、とのことだったんだけど、どちらのテイクもなかなかいいので、結果としては良かったのでは。スローな曲で、音の中を漂っているような雰囲気。（２５年１０月２２日発売）
ナウ！！／今田勝（P）四重奏団（Three Blind Mice） - Recorded August 10 and 11, 1970. 三森一郎（Ts、Ss）、水橋孝（B）、小津昌彦（Ds） - 1. Nostalgia 2. Alter 3. Gehi Dorian 4. The Shadow Of The Castle

全曲今田勝の作曲。収録時間は３８分。セカンド・アルバムでTBM第１作。さすがメロディ・メイカーだけあって印象的な曲が多いです。サックスも前面に出ているのも特徴。ピアノはなかなか聴かせます。バラードで始まり渋い都会の景色を見せるような、それでいてメロディが引き立っている、これぞ日本のジャズだなあと思わせる１曲目。フリーな感じでドラムスが中心になって始まり、後半に行くにつれてピアノらサックスが混ざっていき、けっこうハードなんだけど、それでも旋律にも耳が行く２曲目、アップテンポの４ビートで、モーダルな演奏がこれでもかと進んでいき、ピアノとサックスのメロディが爽快な３曲目、サックスから始まる、ややアップテンポのワルツでの少しホンワカしつつもシャープなのが印象的な４曲目。（２５年１０月２２日発売）
銀巴里セッション－１９６３年６月２６日－／新世紀音楽研究所（Three Blind Mice） - Recorded June 26. 1963. - １．Greemsleeves（高柳昌行（G）、金井英人（B）、稲葉国光（B）、富樫雅彦（Ds））　２．Nardis（菊地雅章（P）、金井英人（B）、富樫雅彦（Ds））　３．If I Were A Bell（中牟礼貞則（G）、日野皓正（Tp）、稲葉国光（B）、山崎弘（Ds））　４．Obstruction（山下洋輔（P）、宇山恭平（G)、金井英人（B）、富樫雅彦（Ds））

’６３年の歴史的一面を切り取った演奏。名だたる演奏家たちの演奏が繰り広げられています。収録時間は５３分。音質はちょっとSACDにするには苦しいかなとも思いますが、もともとこの時代のライヴをプライベート録音を切り取って（当時は）レコードにしたということで、歴史的意義は大きい。まだその個性を存分に発揮するにはちょっと若いけれど、当時の日本のジャズの熱さが伝わってきます。そして特に、３曲目の中牟礼のギターがけっこう流ちょうなのにも感銘を受けます。そして富樫はまだドラマーとしてならしていた頃の演奏ということで、そういう意味でも貴重な音源ではあります。記録という意味では、聴いてみて良かった１枚。ライナーにその夜の演奏曲の全貌が書いてあるけど、その全部を聴いてみたい。（２５年１０月２２日発売）
Figure In Blue/Charles Lloyd(Ts, Alf, Tarogato)(Blue Note Records)（輸入盤） - Released 2025. Jason Moran(P, Shakers), Marvil Sewell(G) - 1. Abide With Me 2. Hina Hanta, The Way Of Peace 3. Figure In Blue, Memories Of Duke 4. Desolation Sound 5. Ruminations 6. Chulahoma 7. Song My Lady Sings 8. The Ghost Of Lady Day 9. Blues For Langston 10. Heaven 11. Black Butterfly 12. Ancient Rain 13. Hymn To The Mother, For Zakir 7. Somewhere

(25/10/16)CD２枚組で収録時間は９７分。トラディショナルが1曲目、デューク・エリントン作関連が１０－１１曲目、スタンダードが14曲目の他はチャールス・ロイド作曲。個性的なピアノとギターと組むも、何か悟りきったような、メロディアスで思索的な要素を感じる曲が多いです。エリントン、ビリー・ホリデイ、ザキール・フセインに捧げる曲も入っていて、情感豊かに進んでいきます。基本的にリズム楽器がないのですが、その世界に浸ることで満足感はあります。５曲目のようにフリー一歩手前の曲もあって、変化に富んでいます。これらを難なくこなすメンバーもなかなか。テンポのいい曲はフォーク・ソング的なギターや、ボッサのリズムも。ロイドの演奏はどこを切っても彼か。６、９曲目はブルージーなギターが特徴です。
Tokyo/Wolfgang Muthspiel(G)/Scott Colley(B)/Brian Blade(Ds)(ECM 2857)（輸入盤） - Recorded October 2024. - 1. Lisbon Stomp 2. Pradela 3. Flight 4. Roll 5. Christa's Dream 6. Diminished And Augmented 7. Traversia 8. Strummiong 9. Weill You Wait 10. Abacus

(25/10/15)１曲目がキース・ジャレット作、１０曲目がポール・モチアン作、他は全曲Wolfgang Muthspiel作。収録時間は５６分。Tokyoとタイトルにあるけど、東京でのスタジオ録音。４ビートになりそうでならなそうな１曲目をはじめ、非４ビートの曲としてはけっこう聴きやすい曲も多いです。もちろんECM的な表現もありますが。美しいメロディの曲もあって、トリオで一体となりながら、アルバム全体のイメージを醸し出しているので、けっこういい感じの流れです。このメンバーでは連続３作目で、バラエティに富んでいて、このトリオならではの入り組んだ演奏もあってなかなか良い。エレクトリックとアコースティックとギターの使い分けがまた良く、難解な部分をある程度そぎ落としている感じもここではプラスにはたらいています。
Tramonto/John Taylor(P)/Marc Johnson(B)/Joey Baron(Ds)(ECM 2544)（輸入盤） - Recorded January 2002. - 1. Pure And Simple 2. Between Moons 3. Up Too Late 4. Tramonto 5. Ambleside

(25/10/13)過去のライヴ演奏。３曲目がスティーヴ・スワロウ作、４曲目がラルフ・タウナー作、他はジョン・テイラー作。収録時間は５４分。１曲目の出だしで、ちょっとしたテンポ的なつまずきのような進行を見せて複雑なテーマの曲が現れるも、アドリブの部分で平易になることなく、さすがこのメンバー、ぴったりとまとまったところを聴かせてくれます。美しいメロディだけど、それぞれが勝手に進んでいるようでまとまっているバラードの２曲目、メロディ・メイカーの曲にしては少々アヴァン的展開になっている、なんだか印象に残る３曲目、ベース・ソロでしっとりと始まり、繊細なメロディが漂っているようなタイトル曲のバラードの４曲目、ピアノの一定の音の打鍵音にベースソロが絡み、その後やや快活な方向へ行く５曲目。
Pax/Tingvall Trio(Skip Records)（輸入盤） - Recorded May 5-7, 2005. Martin Tingvall(P), Omar Rodriguez Calvo(B), Jurgen Spiegel(Ds, Per) - 1. Open Gate 2. A New Hope 3. Shadows 4. A Promise 5. Life Will Go On 6. Ystad Folksong 7. Witches 8. Sami People 9. Crusin' 10. Pax 11. The End 12. Goodbye

(25/10/11)全曲Martin Tingvallの作曲で、アレンジはトリオ。収録時間は５７分。３－７分台の曲が多いけど、収録時間からするとこの曲数になるか。いかにもヨーロッパのジャスという感じで、非４ビート系の美メロの曲が目立ちます。それでいて、少しゆったりとしている割には音の粒立ちがはっきりとしていて、そんなに大人しいという感じでもない。ステファノ・アメリオの録音とミキシングなので、それも当然か。繊細なところは繊細に、出るところは出て、という感じ。メロディがいいせいか、何度でも聴いていたくなるアルバムです。分かりやすいメロディでもありますが。トリオとしてのバランスもなかなかいい。このグループ、以前から評判だったようで、今回はストリーミングで目立つところにあったので、買ってみました。

９月

Ki 樹／田村夏樹（Tp）、藤井郷子（P)（Libra Records） - Recorded JUly 15, 2025. - 1. Keyaki 2. Sugi 3. Hinoki 4. Kusunoki 5. Arakashi 6. Icho 7. Kunugi 8. Dan's Oceanside Listening Post (Bonus Track)

８曲目のボーナストラックのみ藤井郷子作曲で、他の本編は全曲田村夏樹の作曲。収録時間は６２分。いつもの難解な部分や音数の多い部分はほぼ影を潜め、ゆったりとしたスペイシーな進行で、これがフリーなのか、という感じの穏やかなメロディと安定感。木々の名前のタイトルはあるが、それは音楽を聴くための手段であって、曲のタイトルにはあまりこだわらなくていいのではないかと思います。時々ピアノの低温は鳴るにしても、それも優しく音楽を包み込んでくれます。普段フリーを敬遠している人でも、これなら耽美的な演奏でもあるし、普通に、いや、親しみを持って聴けるのではないか。突然これらの曲が流れてきても一部のフリージャズの部分を除き、ヒーリング・ミュージックと感じる人も多いのではと思う。（２５年９月１９日発売）


　

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